日本映画最初のスター 尾上松之助の死去

 伊藤大輔大河内傳次郎がコンビを組んだこの年、世代交代を象徴する出来事が起こる。1926年9月11日、日本映画最初のスター、尾上松之助が死去したのだ。51歳だった。「侠骨三日月」(1926)の撮影中に心筋梗塞で倒れたのだった。日活は松之助の葬儀を社葬として執り行い、20万人の人々が参列した。また、日活の株価が一時下落し、松之助の存在の大きさを物語った。

 日活は、松之助の後継に、河部五郎をスターにしようとしたが貫禄不足だったという。また、伊藤大輔とのコンビで今後スターになっていく大河内傳次郎を、日活首脳は売れるとは思っていなかったという。