キネトスコープ エジソン(7)

 エジソンは自らが思い描いたものと異なる映像よりも、別のものに興味を持つようになる。それは、鉄鉱石選別の研究だった。純粋に発明の興味として映像よりも鉄鉱石選別に興味を持ったのかはわからない。だが、少なくとも投資先として、エジソンは鉄鉱石を選んだ。ちなみにエジソンの鉄鉱石選別機械は完成するも、事業化できずに失敗に終わる。質のよい鉄鉱石が算出される鉱山が見つかってしまい、不用になってしまったのだ。
 エジソンが鉄鉱石選別事業にのめり込んでいる間も、映像についての研究は全力ではないが行われていた。映写についても研究されたが、成功しなかった。チラつきがひどすぎたのだ。マレーがその解決方法を発表していたのだが、エジソンとディクソンはそれに気づかなかったのだろう。
 よく、エジソンは元から映写式ではなく、覗き見式を目指していたと言われているが、単純に映写式が成功しなかっただけの可能性もある。オペラの上映について、常々エジソンが語っていたことを考えると、エジソンが劇場での上映を視野にいれていなかったとは考えにくい。