「イントレランス」とはいったい何だったのか?

 「イントレランス」(1916)は、1人の映画製作者が自らの考えを巨大な規模で表現しようとした映画だ。だが、この頃になると映画は1人の人間が経済的な面から内容まですべてをコントロールするには大きくなりすぎていた。ジョルジュ・メリエスから連なる1人の人間がコントロールする職人的な映画製作は、「イントレランス」で決定的に終焉を迎えたといえるだろう。「イントレランス」はその記念碑として、また墓碑として映画史に燦然と残り続けることになるだろう。

 ちなみに、グリフィスはトライアングル社の製作責任者という立場で、作品の監修も行っていた。「ドン・キホーテ」といった作品を監修しているが、失敗作だったといわれている。また、「くつろいだ老人たち」(1916)という不当な罪を問われた放蕩息子を見守る両親のメロドラマも製作した。リリアン・ギッシュの妹ドロシー・ギッシュ主演の「GRETCHEN THE GREENHORN」や、メイ・マーシュ主演「HOODOO ANN」の監修もしている。だが、グリフィスは「イントレランス」の仕事にかかりきりになり、監修の仕事を放棄していたとも言われている。

 グリフィスは意識的にはなくとも、多くの映画人を育てた。グリフィスの映画撮影に関わり、その後映画人として飛躍していった人物の名前を挙げてみよう。その錚々たるメンバーたちを。ジャック・コンウェイアラン・ドワンラオール・ウォルシュヴィクター・フレミング、エーリッヒ・フォン・シュトロハイム、ウッディ・S・ヴァン・ダイク、トッド・ブラウニング・・・・



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