映画評「リズム21」

 製作国ドイツ 原題「RHYTHMUS 21」 英語題「RHYTHM 21」
 監督ハンス・リヒター

 ドイツ人のダダイストの画家だったハンス・リヒターが製作した作品である。黒地に白(または白地に黒)の四角形が登場し、拡大されたり縮小したりする。もともとは前衛画家であるリヒターは、絵画の限界を超えるものを映像に求めた。絵画と映像の最大の違いは、「動くこと」である。動くことによって得られる最大の特徴は、「リズム」である。それを作品としたのが「リズム21」だといえる。

 正直言って面白い作品かというと、私にとっては面白くはなかった。最大の原因は、音楽との融合性が考慮に入れられていないためではないかと思う。私が見た映像には、後からつけられた音楽がついているものの、映像と音楽が融合している感覚は感じられなかった。抽象的な映像だけでリズムの魅力を堪能できるほど、私の感覚が鋭くないだけかもしれない。

 とはいえ、リヒターが絵画の方面から映像を考察した研究結果として、「リズム21」は評価されなければならない作品であることは間違いない。

 ちなみに、「リズム21」が公開されたのは1923年と言われている。公開されたときは「リズム23」というタイトルだった。後に、編集を行って「リズム21」という現在私たちが見ることができる作品を仕上げたと言われる。