イギリス セシル・ヘップワースの作品 1900年

「How It Feels to Be Run Over」

 イギリスの映画製作者、セシル・ヘップワースによって製作された作品。当時の多くの作品と同様に、約1分である。この作品が、同じように1分のリュミエールの映画と違うのは、カメラが登場人物の1つであるということだ。
 車がカメラの方に向かって走ってきて、車に激突する瞬間に暗転。字幕が出て映画は終わる。タイトルどおり、「車に轢かれたような」気分になる映画となっている。
 どう撮影されたのかはわからない。もし、カメラを壊してまで製作したのだとしたらたいしたものだ。
 ちなみに、この作品はリュミエール社の「列車の到着」のパロディとも考えられている。また、字幕を使った最初期の映画の1つのようだ。


「Explosion of a Motor Car」

 イギリスの映画製作者、セシル・ヘップワースによって製作された作品。1台の車が運転中に急に爆発。警官が車を調べていると、空からバラバラになった人々のパーツが落ちてくる。
 ジョルジュ・メリエスの作品でおなじみの、1度カメラを止めて車と残骸とを入れ替えて再びカメラを回すことによる瞬間的な置き換えのトリック自体に取り立てて面白みはない。この作品のおもしろさは、その後にある。
 手や足や胴体といった人間のパーツが空から落ちてくるブラックユーモアがおもしろい。警官がそれほど驚きもせずに、落ちてきたパーツを調べているのも面白い。同時期のイギリスの作品では「メアリー・ジェーンの災難」(1903)でも同じようなブラックユーモアが使われている。後のモンティ・パイソンのギャグを思わせるこのタイプのブラックユーモアはイギリスの特質とも言えるが、メリエスの作品にも同じようなギャグはある。



(DVD紹介)

「The Movies Begin - A Treasury of Early Cinema, 1894-1913」

 初期の映画を多く見ることができる5枚組みのDVD。リュミエール兄弟エジソン社、ジョルジュ・メリエスを始め、イギリスのブライトン派と呼ばれた人々など、日本ではなかなか見ることができない作品を見ることができる。
 アメリカのamazonから輸入して買うことができるが、もちろん英語。それでも買いたいと思う人は、下記サイトが参考になります。

http://dvd.or.tv/
 
注意!・・・「リージョン1」のDVDです。「リージョン1」対応のプレイヤーが必要です。