フランス・パテ社の作品 1906年
「Aladin ou la lampe merveilleuse(アラジンと魔法のランプ)」
フランス・パテ社製作、アルベルト・カペラーニ監督。
「アラジンと魔法のランプ」の映画化。ジョルジュ・メリエスの作品の雰囲気によく似ている。撮影法も基本的には舞台上で演じられるものを、固定のカメラ(一部移動撮影も行われている)で撮影するというものでメリエス流。さらに、魔人の造形にもメリエスの作品に共通の部分を感じる。
ストーリーはあらかじめ知っていることを前提に作られており、単体で見るとわからない部分もあるが、それはこの当時の作品では普通のことだ。
私が見たのは彩色されたバージョン。彩色は荒く(それとも年月の経過のせいか)、かなり滲んでいる。それでも、なんとなく綺麗に見えてしまうのが不思議なところだ。
「THE TALION PUCNISHMENT」
ガストン・ヴェル監督
昆虫採集をしている男が、蝶々の化身に捉えられて、標本のように体の真ん中を針で留められ改心する。
舞台を撮影したように作られたファンタジー。着色が施されているが、あまりきれいとは言えない。
「LE PREMIER CIGAR D'UN CLLEGIAN」(1906)
製作国フランス 英語題「HIS FIRST CIGAR」 パテ・フレール製作・配給
監督ルイス・J・ガスニエ 出演マックス・ランデー
1905年に映画デビューした喜劇役者マックス・ランデー主演作品。初めて葉巻を吸ったランデーは、気持ちが悪くなってしまい、フラフラになりながら家路につく。
内容的には、この後の多く作られていくコメディと比べてシンプル。当時はまだ10分程度の作品が多く(この作品は6分弱)、内容的にはワン・アイデアを拡張したものにならざるを得なかったことだろう。ランデーの大げさではない扮装・演技は、以後のアメリカのスラップスティック・コメディとは対照的だ。
「LES ROSES MAGIQUES」(1906)
製作国フランス 英語題「MAGIC ROSES」
パテ・フレール製作・配給 監督セグンド・デ・チョモン
マジシャンが美しい女性を登場させたり、花に変えたりする。
ジョルジュ・メリエス流の映像トリックを使った作品は、メリエスだけが作っていたわけではない。著作権の意識が希薄で、映画製作が現在よりも容易だった当時においては、多くの映画会社・人物がメリエス流の作品を製作した。この作品もその1つである。
マジシャンの格好などからもメリエスの影響がうかがえるが、メリエス作品と決定的に異なる点がある。それは、メリエスが主演していないのだ。舞台仕込みのメリエスの立ち居振る舞いは、それだけでもエンターテインメントに溢れている。メリエス流の他人物による作品を見ると、そのことを思い知らされる。
(DVD紹介)
「The Movies Begin - A Treasury of Early Cinema, 1894-1913」
初期の映画を多く見ることができる5枚組みのDVD。リュミエール兄弟、エジソン社、ジョルジュ・メリエスを始め、イギリスのブライトン派と呼ばれた人々など、日本ではなかなか見ることができない作品を見ることができる。
アメリカのamazonから輸入して買うことができるが、もちろん英語。それでも買いたいと思う人は、下記サイトが参考になります。
http://dvd.or.tv/
注意!・・・「リージョン1」のDVDです。「リージョン1」対応のプレイヤーが必要です。