フランス マックス・ランデーの作品 1911年

「MAX ET SA BELLE MERE」(1911

 英語題「MAX AND HIS MOTHER-IN-LAW」 製作国フランス パテ・フレール製作・配給
 監督・脚本・出演ルマックス・ランデー 監督ルシアン・ノンゲ

 新婚のマックスは新婚旅行に出かけるが、娘思いの義理の母親が付いてくる。

 義理の母親に翻弄されるマックスの様子をコミカルに描いたコメディ。25分弱という当時としては長い作品である。全体的にほんわかとした雰囲気で、マックスに邪険にされたり、ひどい目にあったりしても決して怒り狂ったりしない(ここがアメリカのスラップスティック・コメディと違う)母親も、どこか魅力がある。

 当時の中流階級の人々の娯楽だったスキー場で楽しむマックスらの様子(危険そうに見えるほどのスピードを出すソリ遊びなど)は、当時のフランス風俗を知ることができるという意味もある。


「MAX ET JANE CEULANT FAIRE DU THATRE」(1911

 英語題「MAX PLAYS AT DRAMA」 製作国フランス パテ・フレール製作・配給
 監督・脚本・出演マックス・ランデー

 友人たちを観客に、舞台で悲劇を演じることになったマックス。熱演が終わると観客たちはみんな寝ていた。

 ワン・アイデアによる他愛もないコメディと言ってしまえばそれまでの作品。だが、ラストの観客たちがみんな同じ方向に体を傾けて眠っているショットの演出は目を引く。


「MAX, VICTIM DU QUINQUINA」(1911

 英語題「MAX AND THE QUINQUINA」 製作国フランス パテ・フレール製作・配給
 監督・出演マックス・ランデー

 酔っ払ったマックスは、3人の身分の高い男に絡んで決闘を挑まれ名刺をもらう。警官に保護されたマックスは、身分の高い男の名刺を差し出す。

 チャールズ・チャップリンはランデーを「師匠」と呼んだという。酔っ払い芸に、身分の入れ替わりなど、この作品には、短編時代のチャップリン作品を思わせる要素が盛り込まれている。普通の中流階級の紳士であり、テンポもゆったりとしている点が異なるが。チャップリンはヴォードヴィルの芸人時代から酔っ払い芸を得意にしていたというし、身分の入れ替わりという発想自体も新しいものではないが。

 アイデアといい、ランデーの酔っ払い演技といい、この作品の完成度は高い。同時期のランデーの作品はワン・アイデアだけで作られたものも多いが、この作品のように練られているものも多くある。