キーストン時代のチャップリンの作品「メーベルの身替り運転」

 メーベルの恋人はレーサー。レース場に向かう途中に2人はケンカし、メーベルは通りがかりのチャーリーのバイクに乗せてもらうが、チャーリーがカーブで車から落ちたメーベルに気づかなかったために、メーベルは恋人の元に戻る。そのことを逆恨みしたチャーリーは、レーサーを監禁してしまう。このままではレースは棄権となってしまうため、メーベルは代わりに運転することにするが、チャーリーはさらにメーベルに対して、様々な邪魔をする。

 タイトルからしてメイベル・ノーマンド主演の作品だが、最も印象的なのはチャップリンだ。メーベルに逆恨みをした後は、性格もへったくれもないただの邪魔をするだけの存在となる。発炎筒のようなものを投げたり、道路に大量の水をまいてぬかるみにしたりという決死の努力は、当然のごとく実を結ばない。メーベルが自動車に乗ったあとは、自動車とは別カットでクロース・アップで撮影されているのみで、そこには魅力は感じられない。

 この作品のチャーリーはバイクに乗っているのだが、後年の浮浪者チャーリーのキャラクターとはまったく合わない。また、この作品のチャップリンはチョビ髭の他にアゴ髭もつけているし、服装も少し立派になっている。

 チャップリンはまだまだキーストン社の役者の一員にすぎないことがこの作品ではわかる。



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