日本 天然色活動写真株式会社(天活)の設立

 東洋商会の小林喜三郎、山川吉太郎らと旧福宝堂派が、キネマカラーを中心とする新会社、天然色活動写真株式会社(天活)を設立している。東洋商会の製作興行権を買い取る形として設立された。日活ができる前に福宝堂は、イギリスのキネマカラーの専売特許権を買収して特許権を得ていたが、この頃福宝堂は日活に吸収されていた。

 キネマカラーは自然の色彩を赤と緑に分けて、それぞれの色のフィルターを通して撮影。映写時はそれぞれの色のフィルターを透かして映写。これまでの1コマずつ彩色するよりは機械的となったが、1場面ごとに2コマのフィルムが必要で、ともすれば色彩が滲み、著しく視神経を疲労させる欠点があった。

 「百花爛漫」「おいらん道中」「義経千本桜」を製作したが、第一次大戦勃発による生フィルムの価格が暴騰により、キネマカラーの作品の製作を見合わせるようになる。

 それでも天活は次第に業績を拡張し、日活の興行館や所属役者を奪うようになっていく。



(映画本紹介)

日本映画発達史 (1) 活動写真時代 (中公文庫)

日本映画発達史 (1) 活動写真時代 (中公文庫)

日本の映画の歴史を追った大著。日本映画史の一通りの流れを知るにはうってつけ。