映画評「対角線交響楽」

※ネタバレが含まれている場合があります

[製作国]ドイツ [原題]SYMPHONIE DIAGONALE [英語題]DIAGONAL SYMPHONY

[製作]ヴィキング・エッゲリング

 当時ドイツでは、抽象的な映像による「絶対映画」と呼ばれた実験映画が作られていた。エッゲリングは「絶対映画」を作った人物の代表格の1人である。

 ダダイズムの画家だったエッゲリングが、「絶対映画」に向かった理由は、映画には絵画にはない「時間」という要素があったためだと言われている。絵画では表現できないものを、映像によって表現しようという試みだったのだ。

 そこで重要なのはリズムであり、テンポである。「対角線交響楽」でも直線と曲線で描かれた抽象的な図形で現れては消えていく。徐々に複雑になっていき、現れては消えるパターンも複雑化する。タイトルに「交響楽」とあるように、映像で音楽を奏でようという試みは、徐々に盛り上がりを見せて終わる。

 正直、エッゲリングの試みが成功しているのかは、よく分からない。ただ、私たちが電飾だったり、パソコンのスクリーンセーバーだったりで見ることができる、抽象的な図形の動きのルーツがここにあることは間違いない。