ブライトン派−イギリス

 イギリスで撮影を行っていた人々が、後々まで語り継がれる作品をこの年より製作を始めている。その作品の先駆性により、彼らは「ブライトン派」と呼ばれるようになる。

 ジョージ・アルバート・スミスは、この年に映画製作会社と契約し、その契約金で撮影所を建設する。そこで撮影した作品はクロース・アップを使用した作品として有名だ。「おばあさんの虫眼鏡」「望遠鏡でみたもの」の2作がそれである。

 虫眼鏡、望遠鏡という小道具を使用することによって、クロース・アップのショットが見る者にとって自然な形で受け取れるようになっている。ジョルジュ・サドゥールはクロース・アップの使用により、「撮影機は人間の眼のように、観客の眼のように、あるいは主人公の眼のように動くものになったのだ」(「世界映画全史」)と書いている。

 ジェームズ・ウィリアムソンは、「中国における伝道会襲撃」という作品を撮影している。この作品ではカットバックが用いられている。カットバックとは遠く離れた2つの場所で同時に展開するアクションを交互に編集する技法のことだ。この作品のカットバックは戦闘と援軍の到着を順次見せるというカットバックが行われている(とされていたが、私が見たバージョンでは、カットバックは使われていなかった)。

 クロース・アップとカットバックという、後にD・W・グリフィスによって完成され、現在でも効果的に使用されることで映画の魅力を増す要素の1つなっている技術を、ブライトン派の2人がこの年使用したのだ。