「エドワード七世の戴冠式」

 この年、ロンドンでイギリスの国王エドワード七世の戴冠式が行われた。ジョルジュ・メリエスはこの戴冠式を再現した「エドワード七世の戴冠式」も撮影している。

 メリエスは教会のシーンをセット撮影するために、ロンドンに調査に赴いた。メリエスの撮影所には大聖堂の内装セットを作った。また、そっくりの小道具を制作し、そっくりの役者を見つけてきてまで徹底的に再現した。エドワード国王は洗濯屋で働いていた人物、女王はダンサーが演じたという。

 上映の際に、式そのものの映像ではなく、再現であることは明言していたのだが、「ニセモノ」という批判を受けたりもした。興行的に成功し、エドワード七世自身も見た。

 「月世界旅行」ではトリック映画の、「エドワード七世の戴冠式」では再現ニュース映画のヒット作を飛ばしたメリエスにとって1902年は全盛期とも言える年となる。