セシル・B・デミルの映画製作「チート」
ラスキー・フィーチャー・プレイ社で西部劇を中心に映画製作を行っていたセシル・B・デミルは、この年社交界ドラマの「チート」(1915)と、文芸作の「カルメン」(1515)を製作している。
「チート」は、三角関係というありふれた話だが、眼や眉で演技する早川雪洲が話題を呼んだ作品である。早川雪洲は、人妻の弱みにつけこむ残忍な古物商を演じている。そのために、日系人の排斥運動が高まっており、イメージに敏感になっていた当時のカリフォルニアの日系人社会は上映反対運動が起こし、早川は国辱俳優とまで言われた。日本でも非難の声が上がり日本公開はされなかった。1918年、日本人ではなくビルマの象牙王(当時、アメリカ国内にビルマ人口が少なかったため)に変えられて再公開されたりもした。
早川雪洲は1915年に、自らを見出してくれたインスの元を去り、ラスキー・フィーチャー・プレイ社と専属契約し、「アフター・ファイブ」「ザ・クルー」「ザ・シークレット・シン」(1915)といった作品に出演していた。早川はこの後大スターとなり、ハリウッドに大邸宅を構え、一時は「将軍雪洲」と宣伝されるまでになった。
早川は悪役でスターとなったが、その後も日本人が脚光を浴びるときは悪役としてのケースが多い。
また、現在でもフランスの映画賞の名前(「ルイ・デリュック賞」)として名前が残っているルイ・デリュックは、「チート」がきっかけで映画に興味を持つようになったのだという。
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