ロシア映画 繁栄した映画製作

 ロシアでは、戦争にも関わらず映画製作は繁栄し、1916年には499本に達する作品が製作されている。

 ヤーコフ・プロタザーノフは、プーシキン原作の「スペードの女王」(1916)を監督している。当時頭角を現してきていたイヴァン・モジューヒンが主演したこの作品は、強烈な明暗による陰影に富んだ映像により、怪奇と幻想の人間ドラマが描かれているという。

 この頃のロシア映画は、メロドラマが主流だったという。中でもエヴゲーニ・パウエルが活躍した。バウエルが監督した「人生には人生を」(1916)のヒロインであるヴェラ・ホロードナヤは革命前ロシアのトップ女優として活躍していたという。「人生には人生を」は、フランスのジョルジュ・オーネ原作「セルジュ・パニーヌ」を映画化したサロン・メロドラマで、大金持ちの未亡人の養女と実の娘が、商人と公爵の利己的な愛に翻弄され、人生を狂わせられるという内容だった。

無声映画芸術の開花―アメリカ映画の世界制覇〈2〉1914‐1920 (世界映画全史)

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