セシル・B・デミルのセックス・アピール映画

 「歴史物」に活路を見出していたセシル・B・デミルだったが、製作費が歴史物ほどかからずに利益が見込める社交界を描いた現代物の製作を会社側がデミルに命じ、デミルはセックス・アピールたっぷりの作品を多く製作していく。この年は、浮気への誘惑を描いた「醒めよ人妻」(1918)が作られている。

 デミルが監督したセックス・アピール映画のひとつである「情熱の国」(1918)からは、映画用にメイクが行われるようになったとも言われている。

 他にもデミルは、会社の金を盗んだ男が殺されていた他人に成りすまして世間を誤魔化すが、皮肉で悲惨な運命を辿るという内容の、レイモンド・ハットン主演作「囁きの合唱」(1918)も監督している。

 この年の暮れ、デミルはグロリア・スワンソンと契約している。スワンソンはそれまでパッとしなかったが、セシル・B・デミル監督作で、名声を高めて行く。当初の週給は150ドルだったと言われている。

 「醒めよ人妻」のような結婚生活の機微を描いた作品は、しばらくハリウッドの流行になった。俳優から監督に転身したジョン・M・スタール監督は、フローレンス・リード主演の「人の妻」(1918)を監督している。派手なデミルとは異なるしっとりとした作品だったという。