バスター・キートンとロスコー・アーバックルの別離

 キートンとアーバックルは、この年公開作品では「初舞台」「田舎者」(1919)で共演をした。だが、アーバックルはジョゼフ・スケンクの元から、アドルフ・ズーカーのパラマウントの元へと移籍して、「LOVE」(1919)といった作品に主演する。3年契約で年100万ドルという契約だった。一方でキートンは、スケンクの元に残り、単独主演作を製作していくことになる。

 キートンが演じたキャラクターといえば、無表情の「ストーン・フェイス」が有名だが、それ以外の特徴としてキートン自身は「バスター・キートン自伝」の中で、チャールズ・チャップリンが作り上げたキャラクターと比較して次のように書いている。

 「チャーリーの放浪紳士は浮浪者で、浮浪者の哲学を持っている。彼は彼なりに愛すべき人物なのだが、それでもチャンスさえあれば抜け目なく盗みも働く。一方私の演ずる小男は労働者で、まっ正直な男だ」

バスター・キートン自伝―わが素晴らしきドタバタ喜劇の世界 (リュミエール叢書)

バスター・キートン自伝―わが素晴らしきドタバタ喜劇の世界 (リュミエール叢書)