フランス アベル・ガンスのさらなる活躍

 活躍を続けていたアベル・ガンスは、反戦映画「戦争と平和」(1919)を監督している。パテ社と陸軍写真映画部が製作費を出費したこの作品は、1917年夏から撮影されていたが、撮影が中断していた。

 塹壕にいるキリストに呼び起こされた戦死者が墓場から立ち上がり、自分たちの死が役に立ったのかを見に行くという内容の作品で、公開されると愛国者たちの抗議を呼んだという。技術的には、実際の戦闘場面を撮影したニュース映像や、分割スクリーンを駆使していたという。

 最初は興行的によくなく、修正を好むガンスによって何回か再編集され、第二版では反戦の度合いは薄れたが、興行的には最終的に成功を収めたという。

 この後、ガンスはアメリカへ渡り、アメリカ映画界の状況を知り、D・W・グリフィスらの映画人と知り合いになっていく。

映画映像史―ムーヴィング・イメージの軌跡

映画映像史―ムーヴィング・イメージの軌跡