日本 輸入映画 1919年−大正8年

 この年、日本で公開された主な映画には次のような作品がある。

 「桜子」「ロミオとジュリエット」「犬の生活」「お雪さん」「ウーマン」「舞姫タイス」(アメリカ)
 「王家の虎」「十字軍」「トスカ」「復活」(イタリア)、「呪の滝」「紅燈の影」(フランス)
 「波高き日」(スウェーデン

 当時日本では、アラ・ナジモヴァが人気を呼んでいた。ロシア人女優のナジモヴァの、豊艶な東洋的風貌容姿が日本の映画ファンを悩殺したという。ナジモヴァの作品では、「奇跡のバラ」(1919)が公開されている。

 D・W・グリフィスの「イントレランス」(1916)が、1919年に日本でもようやく公開されている。かつて天活に所属していた小林喜三郎が輸入して上映が行われた。だが、浅草帝国館の一般興行に際して、説明者の岩藤思雪が4つの物語の交錯を1つずつ切り離して編集するというグリフィスの意思に反した形で公開されたという。だが、入場料10円という破格の高額が逆に話題を呼び、大宣伝のおかげもあって興行的にヒットしたという。