映画評「野人の勇」

 原題「JUST PALS」 製作国アメリ
 フォックス・フィルム製作・配給 監督ジョン・フォード

 定職を持たないビムは、学校の教師をしているメアリーに恋をしているが、町の人々から白い目で見られている。そんなビムは少年のビルと出会い、友達となる。そんなある日、ビムは泥棒の濡れ衣を着せられる。

 ジョン・フォードがユニヴァーサルからフォックスに移籍して作られた最初の作品である。ちなみに、クレジットではジャック・フォードとなっている。

 ストーリーに、取り立てて工夫されているところは感じられない。気のいい青年と少年の友情に恋愛を絡め、サスペンスで盛り上げたものである。

 演出面で感じたのはテンポのよさだ。ストーリーは、面白いほどポンポンと進んでいく。短いカット割りでつむがれており、まるでストーリー・テリングの教科書をみているかのようだ。

 正直言って、これといったフォードの個性を感じる作品ではない。だが、フォードが堅実な演出力を養っていたことは十分に伝わってくる作品だ。