映画評「ゴルフ狂」

 原題「CONVICT 13」 製作国アメリ
 ジョセフ・M・スケンク・プロダクションズ製作 メトロ・ピクチャーズ・コーポレーション配給
 監督・脚本エドワード・F・クライン 監督・脚本・出演バスター・キートン 出演シビル・シーリィ

 バスターはゴルフ中に自分が打ったボールが頭に当たり、失神。その間に、脱獄囚がバスターと服を取り替えてしまう。バスターは人違いで刑務所に入れられ、絞首刑にされそうになる。

 単独主演デビュー作「文化生活一週間」(1920)と比較すると、笑いどころはあまり多くないが、それでも特筆すべきギャグは多々ある。

 たとえば、警官に追われるようになったキートンが歩いていると、後ろに続々と多くの警官たちがキートンの後ろを歩き出す。いつの間にかキートンがリーダーの行進のようになり、キートンの動きと同じ動きを警官たちが取り出す。またたとえば、キートンが絞首刑になるシーンでは、周りの看守たちが観客のようになり、キートンをはやしたて始め、売り子が突如登場してお菓子などを囚人に売り始める。

 これらのギャグはシュールで面白いのだが、キートンの本領である身体性を売り物にしたギャグではない。絞首刑のロープがゴムに変えられていたため、キートンが首を吊られながらボヨーンボヨーンと跳ねるギャグなどの身体を張ったギャグもあるが、今ひとつに感じられた。

 最大の要因は脚本にあるのかもしれない。一貫性がなく、脈絡のない脚本は、キートンのギャグを散発的なおもしろさにとどめているように感じられた。

バスター・キートン短篇全集 1917-1923 [DVD]

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