ドイツ G・W・パプストの監督デビュー

 同年に映画化された「地霊」(1923)を監督したのは、後に「パンドラの箱」(1929)を監督することになるG・W・パプストだ。

 「宝物」(1923)で監督デビューしたパプストは、舞台から1921年に映画に転向して、俳優として活躍した。その後、フレーリヒ・フィルムでカール・フレーリヒの助監督を努めていた。「宝物」はこわれた鐘楼を建てる一家の物語で、批評も興行成績も悪くなかった。小松弘はパプストのデビュー作について、「パンドラの箱」DVDのブックレットで次のように書いている。

 「このデビュー作ですでにパープストは光と影の強烈なコントラストを見せる個性的な絵画的映像を作り出している。そこには表現主義的な誇張された主観性とリアリストの両世界が混在しており、その後のパープストが作ることになる映像世界との完全なる連続性が見出される」