映画評「ハリー・ラングドンの土曜の午後」

※ネタバレが含まれている場合があります

[製作国]アメリカ  [原題]SATURDAY AFTERNOON  [製作]マック・セネット・コメディーズ  [配給]パテ・エクスチェンジ

[監督]ハリー・エドワーズ  [製作]マック・セネット  [脚本]アーサー・リプリーフランク・キャプラ  [撮影]ウィリアム・ウィリアムズ  [編集]ウィリアム・ホーンベック  [特殊効果]アーニー・クロケット

[出演]ハリー・ラングドン、アリス・ウォード、ヴァーノン・デント、ルース・ハイアット、ペギー・モンゴメリー

 妻の尻に敷かれているハリーは、友人に誘われて若い女性とデートに出かける。妻の眼を盗んで小銭を持ち出してドライブ・デートに向かったハリーだが、若い2人組の男に絡まれる。

 四大喜劇王として、チャールズ・チャップリンバスター・キートンハロルド・ロイドと共に並び称されることもあるハリー・ラングドン主演作作品(ラングドンを除いた3人を三大喜劇王ということが多い。また、「四大」と呼ぶ時にはラングドン以外のコメディアンが入る場合もある)。ラングドンは「土曜の午後」を最後に自身のプロダクションを設立し、長編へと乗り出して行く。ラングドンは現在では知名度が低いが、当時は高い人気を誇ったコメディアンである。フランク・キャプラがスタッフとしてかかわっていたことでも知られる。

 ラングドンが人気を得たのは、子どものような風貌・キャラクターだったと言われる。「土曜の午後」でも、ハリーを尻に敷く妻はまるで母親のようだ。2分帰宅が遅れると怒られ、お金は絨毯の下にへそくりしている。ケンカになっても戦うのは友人だけで、ハリーはアルコールを飲んで引っくり返っている。キャラクターとしては、バスター・キートンがいくつかの作品で演じた役柄に似ている。だが、決して積極的に物事に関与していかない点と、アクロバティックな動きを見せない点が異なる。

 後半では、2台の車のステップに尻とカカトを乗せて座った状態のまま車が走行するというスタントを見せてくれるものの、どこか地味だ。

 「土曜の午後」を見ていると、ラングドンが提供しているのは、幼い風貌であることが分かる。風貌に合ったキャラクターやストーリーを与えられて映える。ラングドンはそういったコメディアンだったということの一端が垣間見える。