映画評「見世物」

※ネタバレが含まれている場合があります

[製作国]アメリカ  [原題]THE SHOW  [製作・配給]MGM

[監督・製作]トッド・ブラウニング  [原作]チャールズ・テニー・ジャクソン  [脚本]ウォルデマー・ヤング  [撮影]ジョン・アーノルド  [編集]エロール・タガート  [美術]リチャード・デイ、セドリック・ギボンズ  [衣装]ルチア・コールター

[出演]ジョン・ギルバート、ルネ・アドレー、ライオネル・バリモア、エドワード・コネリー、ガートルード・ショート、アンディ・マクレナン

 本物のフリークたちを登場させた「フリークス」を監督したことで有名なトッド・ブラウニング。ブラウニングは、カーニバルの世界を熟知しており、「フリークス」もそんな彼の原体験が反映されていると言われるが、本作もまたカーニバル芸人を登場人物としたサスペンス・ドラマだ。

 ジョン・ギルバートにライオネル・バリモアといった出演陣は豪華だが、最大の見所は前半のカーニバルの出し物たちだろう。頭だけの女、クモになった女、水の中に住む女といった作り物の出し物で楽しませてくれる。サロメの首切りシーンを実際に演じるシーンでは、本物の刀を偽物に変えて、首を切られる役が舞台下に移動して作り物の首だけが残されるまでの仕掛けを見せてくれる。仕掛け自体の楽しさだけではなく、首を切られる男役を殺そうとした男が、劇中に忍び込み、本物の刀で首を切ろうとするシーンにつながる。

 後半は、女を取っ替え引っ替えしているろくでなしのジョン・ギルバート演じる男が、彼を愛する女性が見せる父への愛情によって更生するという道徳劇とも言える展開になる。だが、狂信的なまでに息子を待つ盲目の父の姿が印象的だ。この過剰さもまた、ブラウニングらしさなのかもしれない。