牧野省三の「実録忠臣蔵」
独立プロダクションである牧野教育映画製作所で映画製作を行っていた牧野省三は、教育的な映画だけでは経営が苦しくなっていた。
そんな牧野は「実録忠臣蔵」(1922)を製作した。赤穂城のロケに姫路城を初めて使用した。使用においては、牧野所属の映画監督の金森万象が、姫路の有力者に手を回して使用許可を得たという。また、陰セリフや鳴物はない、新しいタイプの時代映画だったと言われている。
興行成績は今ひとつだったが、寿々喜多呂九平はこの作品を見て、シナリオの道へ進んだと言われている。
牧野省三は、自身の映画に子供たちを多く出演させた。「黄金の虎」(1922)では、息子の正博が出演した。主役のお猿をやるために動物園で猿を観察したという。この経験が生きて、正博の猿芸は名人芸と言われたという。
牧野教育映画製作所では、浄土真宗の宣伝映画である「稲田の草庵 大和平九郎」(1922)なども製作している。この頃の牧野教育映画製作所は資金繰りが上手くいっておらず、「稲田の草庵」の製作料金を浄土真宗側に強引に請求して、賽銭から払ったという話もある。
日活から移籍してきていた衣笠貞之助は、内田吐夢と共同監督の「噫小西巡査」(1922)や、「火華」(1922)を監督している。
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